基底は、ベクトル空間の構造を調べる最強のツールです。基底なしにベクトル空間を理解することは不可能といっても過言ではありません。
線形空間を調べるのに避けては通れない概念が基底です。
基底を使う事で線形空間の構造が見通しよくなるのです。
一般的に線形空間の基底は、有限個のベクトルからなる集合であるとは限りませんが、ここでは有限個の要素でできる有限基底のみに言及します。
有限基底の事を単に基底とも言います。
文脈を調べることで有限基底なのかそうでないのかは判断できますので「有限」を省略しても混乱することはまずありません。また、混乱が予測される場合には、断り書きを入れることで対処します。
有限次元ベクトル空間ならではの次の定理があります。この性質はフルに活用され、その性質をつかいたいがために、議論の対象を有限次元に制限しているといっても過言ではありません。
順序基底については、言葉でなかなかうまく説明できないため、例をあげて補足しておきます。
たとえば、
\(p=\begin{pmatrix}1 \\ 2 \end{pmatrix} \)と\(q=\begin{pmatrix}3 \\ 0 \end{pmatrix} \)からなる集合\( \{p,q\}\)は2次元数空間の基底となっています。
ベクトル\(p,q\)の並べ方は、\(p,q\)と\(q,p\)の2通りあります。
\( \{p,q\}\)の元がどの順序で並んでいるのかも含めて考えるのが順序基底です。
順序基底としては、
\(p,q\)の順序の基底\( \{p,q\}\)と
\(q,p\)の順序の基底\( \{p,q\}\)は
区別して考えます。
順序基底の順番は、基底ベクトルを書く順番で表します。
この約束の下で、\( \{p,q\}\)と\( \{q,p\}\)は集合としては同じとみなされますが、順序基底としては区別されます。
順序基底は、よくギリシャ文字を使って表します。
例えば上記の二つの順序基底を\( α=\{p,q\}\)、\( β=\{q,p\}\)のように表します。
\(α\)と\(β\)は集合を表す記号と同じですが、順序基底としてみると異なるものとして扱われます。
特に断り書きがなければ、基底といった場合、それは暗に順序基底であることを指しています。
グラフを書く時などでのx座標、y座標などといった用語に慣れている人にとって、この暗黙の宣言は全くと言って自然です。自然すぎて暗黙に宣言されていることに気が付かないほどです。
コメント
[…] 有限基底をもつベクトル空間を有限次元ベクトル空間という。 […]